好きな人の彼女が気持ち悪すぎてゲロを吐いた話

有紀は毎回海斗が歌うと勝手にハモってオーナーに怒られて拗ねるのだが、昨日はいつもと違った。有紀が歌っているところに海斗がハモって楽しそうな顔をしていた。オーナーが怒るより先に私が怒鳴った。このヒステリックはうちの母親譲りだなあとぼんやり悲しくなりながら、思いつく限りの罵声を放った。

「ねえなにしてんのバカじゃねえのお前同じことされてこの前キレてたじゃねえかよなんでだよなんで人にはするんだよ調子乗らせてどうすんだよ彼女がバカなら彼氏もバカって言うしな死ねよもう帰る二度と来るかよクソ野郎」

みたいなことを言ったと思う。血圧が上がって酒が回った。有紀が後ろで北叟笑んだ気がした。海斗は一瞬呆れたような人を小馬鹿にしたような顔をして、またいつもの営業スマイルに戻った。切り替えが気色悪かった。仕事人だなあと思った。

問題はその後だ。早朝家路に着きベッドに飛び込みそのまま眠りこけ、酒で痛む頭を抱え昼過ぎに起床した。海斗は普通だった。なんとなく監視垢を開き、有紀の裏垢を見た、のが、間違いだった。

あ、こいつ、私がストーリー見てるの気づいてるじゃん。

キャバクラでよく見る顔。厭らしく笑った勝ち誇った女の顔だった。

呼吸がおかしくなった。過呼吸だ。喉が、目の奥が、内臓が、気持ち悪い。熱くて痛くてビリビリして、袋を用意する余裕がなく、ベッドにそのまま吐瀉物をぶち撒けた。固形物を食していなかったので、ジャバジャバと嫌な匂いのする水をただただ吐き出した。

はあ、はっ、はあ、すぅ、はあ、はー、はあ、ふう、はぁー、

これ以上書くと、またゲロを吐きそうなのでもうやめる。死ね